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映画と本

映画:「手紙は覚えている」

内容は、ユダヤ人虐殺・アウシュビッツ強制収容所から生き残った主人公ゼヴの敵討ち。現在は90歳の高齢で、認知症を患うものの、妻を亡くした後の余生ですべきことを決めました。 

 

ストーリー 

(以下、公式サイトより転載)


最愛の妻ルースが死んだ。だが、90歳のゼヴはそれすら覚えていられない程、もの忘れがひどくなった。

 ある日、彼は友人のマックスから1通の手紙を託される。

「覚えているか?ルース亡きあと誓ったことを。君が忘れても大丈夫なように、全てを手紙に書いた。その約束を果たしてほしい―」 

2人はアウシュヴィッツ収容所の生存者で、70年前に大切な家族をナチスの兵士に殺されていた。そしてその兵士は身分を偽り、今も生きているという。犯人の名は “ルディ・コランダー”。容疑者は4名まで絞り込まれていた。体が不自由なマックスに代わり、ゼヴはたった1人での復讐を決意し、託された手紙と、かすかな記憶だけを頼りに旅立つ。だが、彼を待ち受けていたのは人生を覆すほどの衝撃の真実だった― 

映画すじがき

(ネタバレ注意)

主人公ゼヴは、アウシュビッツの生存者である友人マックスと老人ホームで再会します。大切な家族を殺した人物への敵討ちをしたくとも難しい。なぜなら、ゼヴはもう身体が不自由になっていました。しかし、このマックスが犯人追跡のサポートをしてくれることに。2人で「すべきこと」が書かれた手紙を読み返します。

 

家族を撃ち殺した容疑者は、"オットー・ヴァリッシュ"。現在の偽名は、“ルディ・コランダー”。この名前を名乗る者は、4名までに絞られています。身体は動くものの、記憶が途切れてしまうゼヴは、手紙の情報だけを頼りに復讐に向かいます。 マックスから渡された現金を持ち、老人ホームを抜けだし、容疑者の元へ。 

 目的地までの道のり、電車で向い合せに座った少年と話します。

「ゼヴと言う名は、狼の意味だよ」 

 長い電車の道のりに、ゼヴは、うたたね。眠ると妻が亡くなった事実すら忘れてしまいます。目が覚めても直ぐに事態を理解出来ず、向い合せの少年に絡む始末。セヴは忘れまいと、手紙を読む(read letter)ことを手に書き止め、銃を買いに行きます。ゼヴの息子・チャールズは失踪したゼヴを探して奔走しますが、クレジットカードの記録も出ずに捜索は難航してしまいます。

 

 1人目の “ルディ・コランダー” は、ドイツ兵でした。しかしアウシュビッツにはおらず、戦時中は北アフリカ戦線に居たとのこと。憎いドイツ兵ですが、復讐を果たす相手ではありませんでした。

 

 2人目の “ルディ・コランダー” は、カナダの施設に入所していて、ドイツ人、かつ、アウシュビッツ強制収容所に居た過去を持っていましたが、同性愛者です。知る人ぞ知る知識ですが、ナチスドイツは戦時中、ユダヤ民族だけではなく、ドイツ人男性同性愛者をも迫害し、アウシュビッツ強制収容所送りとしていました。同様に苦しんだ2人目の男にゼヴは涙し、その場を後にします。

 参考:第三帝国における同性愛者の迫害


途中、この施設内でピアノを弾くシーンがあり、ゼヴはドイツ人作曲家の曲を弾きます。重要な場面ですので覚えておいてください。


 3人目の “ルディ・コランダー” の自宅前でしばらく待っていると、その息子が帰ってきます。当人は3ヶ月前に亡くなっていましたが、息子が自宅へ招き入れてくれます。犯人だったかどうかを知るため、ゼヴは、息子に対し、「ルディ・コランダーの友人だった」と伝え、息子と話し込みます。ナチスドイツの軍旗、ヒットラーの著書・わが闘争などを見て、ナチス崇拝者であったことが覗えます。アウシュビッツに居たかどうかを尋ねると、「何言ってるんだ?親父は当時10歳だぞ?軍の料理人だったんだ。本当に友人か?」とゼヴを疑い始めます。人違いだったことを告げ、その場を立ち去ろうとするが、腕に彫られた囚人番号によりユダヤ人であることが発覚してしまいます。喧嘩となれば、ゼヴは、この息子に敵いません。復讐のために勇んで来たが息子に凄まれ、て失禁してしまいました。息子がその場を少し離れた隙を狙って、ゼヴは所持していた銃で息子を殺害します。疲れ果てたゼヴは、殺害現場であるその家でシャワーを浴び、眠りにつき、目覚めたゼヴは、再びマックスに連絡を取り、復讐を果たすことを改めて伝えます。 

 途中、ゼヴは事故にあい、病院へ搬送されます。ゼヴの息子・チャールズはようやく父の行方を突き止め、病院へ急ぎます。ベッドに横たわるゼヴは、出会った少女から所持している手紙を読み上げられ、自分が目的の途中であったことを思い出します。病院を抜け出し、最後の「ルディ・コランダー」の元へ向かいました。


 4人目の “ルディ・コランダー” は、家族と同居しています。自宅へ行くと娘が「父は、アウシュビッツのことを話したがらない」と告げます。今度こそ、アウシュビッツに居たドイツ兵に違いない!その男を待つ間、ゼヴはドイツ人音楽家ワーグナーを弾きます。「音楽には国境がないのさ」と言いますが、若い頃から弾いていたような身体に染み込んだピアノ演奏は、どうもユダヤ人らしくありません。 

 ゼヴの演奏中、背中越しに “ルディ・コランダー” が来たことを察知します。昔に聞いた覚えのある声。アメリカ在住が長くなった二人は英語で会話をしますが、未だに母国語(ドイツ語)を忘れてはいません。「ルディ・コランダー」の家族に悟られないよう、ドイツ語で会話を始める2人。外に出ようと提案され、2人はベランダへ。

 

 「いつか君が来ると思っていた」と、ゼヴを抱きしめる “ルディ・コランダー” 。

 

 ゼヴは「アウシュビッツの元ブロック長、"オットー・ヴァリッシュ”。殺された家族の敵討ちに来た」と復讐を果たす意思を告げると、「君は何を言っているんだ?」と理解出来ない男。ゼヴの息子・チャールズもようやく父の居場所へ到着します。 銃を手に今にも男を撃ち殺そうとするゼヴは、家族の前で告白するよう脅しをかけます。 

 男は、 “ルディ・コランダー” と名乗っていますが、本当の名は ”クイーンベルト・ストーム” でした。

 

 「ゼヴ、君は共にアウシュビッツでブロック長を勤めただろう。名を捨てる時にゼヴ=狼と改名すると言っていただろう。"オットー・ヴァリッシュ”」

 

 腕の囚人番号が連番であることを見せ、脱走するため2人で彫っただろう、と伝えます。 ゼヴは両方の家族が見ている中、 “ルディ・コランダー” ことクイーンベルト・ストームを撃ち、自らも拳銃自殺を遂げました。


 老人ホームの中、TV中継で事件を知ったマックスは、皆に「彼は過去に自分のやったこと理解しただけ」だと話します。マックスは、家族を殺した憎い “ルディ・コランダー” と、”クイーンベルト・ストーム” を、自らの手を汚さず始末し、死を見届けます。

まとめ

Zev (ゼヴ)とは、狼との意味らしいのですが、英語では Wolfだし、独語でも同様です。但し、独語の狼は、Wolf (ヴォルフ)⇒オオカミ、Rolf (ロルフ)・Rudi (ルディ)⇒名高いオオカミ、Wolfgang (ヴォルフガング)⇒旅するオオカミ

 映画の中では復数回、ピアノを弾くシーンが出てくるのですが、どれもドイツ人音楽家の曲。その辺りにも伏線が張られていました。

結局、アウシュビッツでの敵討ちをしたかったのは、友人と思い込んでいたマックスでした。被害者である彼の敵討ちという目的を、加害者であるゼヴ=オットー・ヴァリッシュが果たすのです。走り回った挙句、ショックを受けた上での自殺で終わります。

映画感想

TSUTAYAで友人が見つけ、借りてきてくれた準新作。総勢5人でDVD上映会をしましたが、飽きないストーリー展開と長すぎない1時間余りの上映時間が、ちょうど良かったです。 

 第二次世界大戦時のユダヤ人が主人公となる作品は数多くありますが、これは歴史映画ではなく、サスペンスでした。面白かったです。