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映画と本

映画:「人間失格 太宰治と3人の女たち」蜷川実花

昨晩は、蜷川実花監督の「人間失格 太宰治と3人の女たち」を観てきました!

濃厚ラブシーンが話題となっていますが、役者の演技がとても良かったと思います。その日の最終上映にも関わらず、六本木ヒルズは満席。初めて一番前の席で見ましたが、首が痛くなりました(笑)。

映画感想
小栗旬さん演じる、太宰治について。

小栗旬さんは、「あずみ」のなち役、「信長協奏曲」の織田信長、「ルパン三世」のルパン役と、私がすぐに思いつく作品でも名演技で好きな俳優さんです。(個人的には、代表作とも言える「花より男子」の花沢類だけは好きじゃないですけど)

今回の役どころもはまり役、いや、役者として素晴らしいからでしょうか。才気と色気に溢れた(インタビューそのまま)演技がとても良かったです。ちなみに、小栗旬さんは左利きだそうで、あえてこの映画の太宰治も左利きにしたそうです。接する女性によって表情が変わる太宰は、本物っぽい。

二階堂ふみさん演じる、心中相手・富栄について。

二階堂ふみさんは、「西郷どん」の愛加那役を観たときになんて可愛い人だろうと思っていたのですが、この作品では精神を病んでいく演技がすごいです。絡みのシーンではバストを露わにし、ドキリとしました。全身で太宰を愛す表現に見入ってしまいました。はじめは普通の可愛いらしい働く女性なんですけど、太宰に口説かれ、どんどん狂っていくんですね。女の嫉妬心、焦り、尽くして尽くして、逃がさないためにはどうしたら良いのかと考えた富栄。特別な女になるには、一緒に死ぬしかないと考えたであろうことが容易にわかるんですね。相手次第でこんな風になってしまうのかと考えると、恋をするのが怖くなりました。

宮沢りえさん演じる本妻・美知子について。

宮沢りえさんは、「ぼくらの七日間戦争」で国民的美少女と形容され、貴乃花(当時は貴花田)との婚約・破局の後、映画降板でお目にかかる機会が減っていましたが、天海祐希さんの代役でわずかな準備期間から見事に演じきった女優さんです。「紙の月」での彼女は透明感と儚さを兼ね備えた容貌で、彼女にしかない雰囲気に惹かれました。この美知子役でも、控えめな強さが素敵で彼女が涙するシーンでは共に泣いてしまいました。悲しくて、やり切れなくて、日本の多くの女性はこのように夫に泣かされるのは避けられないのかと考えてしまいました。

沢尻エリカさん演じる愛人・静子について。

沢尻エリカさんは、「ヘルタースケルター」が代表作になってしまいましたが、私は「手紙」のヒロイン役が好きでした。好きな小説の好きなキャラクターで、沢尻さんが演じてくれて良かったと思いましたが、彼女が演じる静子役はすごく嫌でした。静子の書きつけを元にしたと言われる太宰治の小説「斜陽」がとても好きで、素敵な女性を想像していました。沢尻エリカさんが演じると、なんだか太田静子さんが下品に感じるのです。没落したとはいえ貴族の立ち振る舞いで居てほしかった。わざとあんな沢尻さんらしいドヤ顔をしているのかもしれませんが、静子は強い女性ではあっても、したたかではなく、計算高い女性とは解釈していなかったので天然で居てほしかった。濡れ場・濡れ場と騒がれていましたが、二階堂ふみさんの体当たりの濡れ場のシーンには遠く及ばないし、時代が違うのに、太宰と静子もあんな下品な抱き合い方をしないと思うんですけどね。

蜷川実花監督らしい、彩りの豊かな美しい映像で、忙しい毎日でも観る価値のある作品でした。